相続対策『養子縁組』、「孫養子」にご注意

相続対策の一つに『養子縁組』があります。

多いのはを養子にするケースではないでしょうか。

孫を養子にすると、相続税の基礎控除生命保険金の非課税枠が増え、更に世代を飛ばして相続させることが出来、なかなか有益な方法です。

しかし、「孫養子」のメリットの裏に思わぬ落とし穴が隠されています。

「孫養子」の注意点

簡単な所で言うと、相続人が増えることにより遺産分割の話し合いがまとまりにくくなります

しかし、落とし穴はそんな簡単は話ではありません。

養子にした孫が未成年の時に相続が発生した場合、困ったことが起こるのです。

まず、覚えておきたいことは、「未成年である孫養子の親権者は養親(祖父母)である」と言うことです。

孫が契約行為を行う場合、親権者の同意が必要になりますが、その親権者とは養親(祖父母)であり、実の両親ではありません

ですから、養親たる祖父母が死亡し孫養子が相続手続きを行わなければいけない場合、親権者が不存在となるため、「未成年後見人」を立てなくてはならないのです。

実の両親がいてもです。

「特別代理人」ではありません。

「未成年後見人」選任手続き家庭裁判所で行います。

孫との『養子縁組』は相続対策になりますが、実際に相続が発生した後のこともきちんと考慮し、メリット・デメリットを天秤にかけた上で判断しましょう。

相続税法上の独自ルール

養子縁組をした場合の法定相続人

民法上の法定相続人と、相続税を計算する上での法定相続人の考え方の違いを解説していきます。まず紹介するのは、養子縁組をした場合の取扱いです。

養子は法律上、正真正銘の子どもとして取り扱われます。当然、法定相続人になるわけです。しかも第1順位の法定相続人です。民法上、養子は何人でもとることができます。極端な話100人でも200人でも許されるわけです。

しかし、ここで問題になるのが相続税です。冒頭で伝えた通り、相続税は法定相続人の人数が多ければ多いほど少なくなる性質を持っています。養子100人とってしまえば、それだけで基礎控除が6億円になります。

このような相続税の節税目的で養子縁組をすることを防止するために、相続税の計算をする上では、法定相続人に含めることができる養子の人数制限しています。

その制限は、その人に実子がいる場合には養子は1人まで、実子がいない場合には養子は2人まで法定相続人の人数含めることができますそれ以上の養子は、民法上はOKですが、相続税の計算上は、法定相続人の人数にカウントすることはできません。

相続放棄があった場合の法定相続人

法定相続人は、相続があったことを知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所に申請をした場合には、相続を放棄することができます。これを相続放棄といいます。

相続税の計算をする上では、法定相続人の人数は、相続放棄がなかったものとした場合の法定相続人の人数を使うこととされています。

相続放棄をすることによって相続税を節税することはできないようになっています。養子縁組をした場合と、相続放棄があった場合には、民法の考え方と相続税の考え方が異なってきますので、注意が必要です。