遺言書の8つの効力
1相続人の廃除等
相続人になる予定の人について、被相続人への虐待や重大な侮辱、その他の著しい非行などの法定の廃除事由が認められ、その相続人に遺産を渡したくない場合には、当該相続人の相続権を消失させることが出来ます。(民法第893条)
2相続分の指定等
遺言書では、法定相続分にかかわらず、遺産の取り分を、遺言者が自由に決定することができます。
例)妻1人、子2人がいた場合
法定相続分:
妻(遺産の1/2)
子A(遺産の1/2×1/2=1/4)
子B(遺産の1/2×1/2=1/4)
遺言による指定:
妻(遺産の1/4)
子A(遺産の5/8)
子B(遺産の1/8)
3遺産分割方法の指定と分割の禁止
遺言者は遺産分割の方法を決められることも民法第908条で明言されており、遺産分割方法を決めるのを第三者に委託することも可能です。さらに、相続開始の時から五年を超えない期間で、遺産の分割を禁ずることもできます。
4相続財産の処分(遺贈)に関すること
遺言者の財産は、原則として法定相続人(配偶者や子など)に相続されますが、遺言者は、法定相続人とならない第三者(例えば愛人やお世話になった人など)や団体に対し、相続財産を遺贈する事が出来ます。
5内縁の妻と子の認知に関すること
婚姻をしていない女性との間に出来たいわゆる隠し子がいる場合、遺言者は、遺言でこれを認知する(正式に自分の子であると認める)ことで、子として相続人に加える事が出来ます。
6後見人の指定
残された子が未成年であり遺言者の死亡により親権者が不在となるような場合、遺言者は第三者を後見人とすることで当該未成年者の財産管理等を委ねる事が出来ます。
7相続人相互の担保責任の指定
遺産を相続したのに財産が他人の物であったり、欠陥があったりした場合、法律上他の相続人は担保責任を負うこととなります。遺言者は、当該担保責任の負担者や負担割合についても、遺言により指定する事が出来ます。
8遺言執行者の指定または指定の委託
遺産相続の結果、相続財産の名義変更が生じる場合、預貯金の名義変更や土地の変更登記のように事務手続が必要となることがあります。
遺言者は、このような遺産相続を実施する上で必要となる手続を行う人(遺言執行者)を指定したり、第三者に指定を委任したりすることが出来ます。