有価証券の相続手続き(名義変更)

遺言書の有無と内容を確認する

遺言書が存在する場合は、基本的には、遺言書で指定されたとおりに相続する(または遺贈を受ける)ことになるので、まずは、遺言書の有無とその内容を確認します。

相続人の調査を行う

まず、相続人を確定させるために、誰が相続人なのかについての調査を行います。

大抵の場合は、調査をしなくても親族関係を把握しているでしょうが、中には、相続人調査によって認知した子がいたことが発覚することもあります。

相続人調査は、被相続人(亡くなって財産を残す人)の出生から死亡までのすべての戸籍謄本、除籍謄本および改製原戸籍を収集して行います。

株式を含めた相続財産の調査を行う

相続株式の調査は、上場株式と非上場株式とで異なります。

上場株式の調査方法

相続財産の中に上場株式があるかどうかは、次のような書類を手掛かりに調査することができます。

  1.  取引口座を開設した際の控え
  2.  目論見書
  3.  取引報告書
  4.  取引残高報告書(評価報告書)
  5.  特定口座年間取引報告書

このような書類を被相続人がしまっていそうな場所を探します。

インターネットで取引している場合もあるので、メールやインターネットブラウザの閲覧履歴等から株式の取引を行っていた証券会社等が分かることもあります。

取引をしていた証券会社が分かれば、取引残高報告書(評価報告書)を確認することで、保有する株式の種類や数が分かります。

前述の書類が見つからない場合で、被相続人が保有していた株券の発行会社が分かっている場合は、株券発行会社に株主名簿管理人となっている信託銀行を確認しましょう。

株主名簿管理人となっている信託銀行が分かれば、そこに問い合わせて、被相続人の特別口座があるかどうかを調べることができます。

どこの会社の株を持っていたかすらも分からない場合は、証券保管振替機構(通称「ほふり」)登録済加入者情報の開示を請求しましょう。

被相続人が上場株式を保有していた場合は、証券保管振替機構に加入者として登録されているはずです。

登録済加入者情報を確認すれば、被相続人が口座を開設していた証券会社や信託銀行が分かります。

非上場株式の調査方法

非上場株式は、発行会社やその株主とコネクションがないと取得できないのです。

被相続人が会社の要職に就いていた場合は、その会社の株式を保有している可能性が高いと考えられるため、会社に問い合わせるとよいでしょう。

非上場株式には譲渡制限が課されていることがありますが、会社は譲渡制限株式を相続した人に対してその売渡しを請求することができるのです。

売渡請求を受けた相続人はこれを拒むことはできません。逆に言えば、現金化できることとなります。

売買価格は、原則として相続人と会社の間の協議によって定められますが、協議がまとまらない場合は、裁判所に売買価格決定の申立てを行い、裁判所が売買価格を決定します。