相続関係説明図の作成マニュアル

相続関係説明図を作成する目的

相続関係説明図は「被相続人と相続人の関係を明らかにすること」を目的として作成される一覧表です。

「相続関係説明図がなくても誰が相続人かわかっている」と考える方もいらっしゃいますが、相続では行政書士や司法書士、金融機関、法務局、税務署など外部の方に相続関係を正確に伝えなければなりません。

そこで役に立つのが相続関係を一覧にした「相続関係説明図」です。

相続関係説明図と聞くと「難しそうだな」と感じてしまうかもしれませんが、時代劇でよく見る「家系図」をイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。

相続関係説明図の利用方法

相続関係説明図は次の相続手続きで提出が必要となります。該当する手続きが必要な方は、前もって作成しておくことが必要です。

①相続登記における戸籍謄本の原本還付手続き

相続財産に不動産がある場合、法務局で相続登記が必要です。相続登記には被相続人の出生から死亡時までの戸籍謄本や相続人の戸籍謄本を原本で提出しなければなりません。

通常は、法務局に提出した戸籍謄本の原本は返却してもらえませんが、戸籍謄本の原本と併せて相続関係説明図を提出した場合に限り、提出した戸籍の原本を返却してもらうことができます。

戸籍謄本の原本還付手続きは、登記申請を行う時点で申し出る必要があります。

法務局へ不動産登記の申請をする相続人が登記申請時点で相続関係説明図を作成していない場合は、登記完了後に原本還付を申し出ても戸籍謄本は返却してもらえませんので注意が必要です。

さらに、戸籍謄本の原本と併せて相続関係説明図を法務局に提出することで「認証文付きの法定相続情報一覧図の写し」を交付してもらえる「法定相続情報証明制度」を利用することができます。

認証文付きの法定相続情報一覧図は、各機関で戸籍謄本一式の代わりとして提出することができる便利な書類です。

②金融機関での解約・払い戻し手続き

被相続人名義の預金の解約・払い戻しを行う際に相続関係説明図の提出が必要になることがあります。

金融機関ごとに必要になる書類が異なりますので、事前に確認しましょう。

③相続税申告手続き

相続税申告では、被相続人と相続人の戸籍謄本を添付しなければなりませんが、2018年4月より戸籍謄本に代えて相続関係説明図を添付することができるようになりました。

ただし、相続税申告書の添付資料として認められる相続関係説明図は、法務局で認証済みの「認証文付きの法定相続情報一覧図の写し」でなければなりません。

また「認証文付きの法定相続情報一覧図の写し」は、相続人の法定相続分が確認することができ、続柄で実子か養子かを確認できる「図形式」のものでなければ認められません。

図形式とは、ここで紹介する書き方と同じ様式ですので参考にしてください。なお、相続税申告書に添付する「認証文付きの法定相続情報一覧図の写し」はコピーでも問題ありません。

詳しくは「国税庁のホームページ」をご覧ください。

相続関係説明図の作成マニュアル

相続関係説明図の作成は「資料収集」「情報整理」「パソコンへ入力」の3段階に分けて行います。それぞれ見ていきましょう。

ステップ①戸籍の収集

まずは相続関係説明図を作成するために必要な戸籍謄本を収集します。必要になる戸籍謄本は次の2種類です。

被相続人の出生から死亡時までのすべての戸籍謄本
相続人全員の戸籍謄本

「被相続人の出生から死亡時までのすべての戸籍謄本」は戸籍の証明期間がつながっているものをすべて用意しなければなりません。

戸籍は婚姻や転籍、養子縁組などが発生すると作り変えられます。

そのため、取得した戸籍がどの期間を証明するものかを把握し、出生から死亡時までを証明する戸籍を全て集めなければなりません。

生前に戸籍の作り変えが多ければ多いほど複数の戸籍謄本が必要になり、未経験の方にとっては予想以上に手間のかかる手続きです。

ステップ②相続人の確定

すべての戸籍謄本を収集したら、その情報を整理していきます。親族の関係性を戸籍謄本で確認し、誰が法定相続人になるのかを確定させていきます。

ここでしっかりと戸籍謄本を確認しておかなければ、把握していない相続人がいてトラブルに発展してしまったり、相続手続きが振り出しに戻ってしまったりするおそれがあります。

ステップ③パソコンへ入力

まとめた情報をパソコンへ入力し相続関係説明図を作成します。

相続関係説明図

入力の際の注意点に番号を記載しています。順番に見ていきましょう。

①タイトルを確認する

法務省のフォーマットはデフォルトで「法定相続情報」と記載されています。このままでも手続き上は問題ありませんが、任意で「相続関係説明図」に変更してもいいでしょう。

②戸籍の続柄を記載する

カッコの中に戸籍上の続柄を記載します。子の続柄が実子なのか養子なのかを分かるように記載する必要があるため「長男」「長女」「養子」などと記載します。単に「子」と記載されたものは実子と養子の区別がつきません。

法務局で法定相続情報一覧図の写しを交付してもらい、戸籍謄本に代えて相続税申告書に添付する場合には、実子か養子かを記載されているものしか認められていませんので注意しましょう。

③氏名の後に「相続」または「分割」と記載する

遺産分割協議によって不動産を相続する人が決まっている場合、不動産を相続する人の氏名の後ろに「相続」と記載し、不動産を相続しない人の氏名の後ろには「分割」と記載します。

「相続」又は「分割」の記載は不動産の相続登記を行う際に必要なものであり、その他の手続きで記載する必要はありません。

④作成日と作成者の情報を記載し捺印する

この相続関係説明図を作成した日と作成した人の住所・氏名を記載し、捺印を行います。

⑤相続関係書類一式還付と記載する

相続登記で戸籍謄本の原本還付手続きを行う場合に記載します。