Q.自分の子に,相続財産を一切取得させない方法はありますか。
子は推定相続人であるため,相続が開始されれば法定相続分を相続するのが原則です(民法887条1項,900条)。
また,たとえ子に相続財産を一切相続させないという遺言を作成しても,子は遺留分を有するため,相続財産から遺留分相当額を取得することになります。
しかし,推定相続人に遺留分相当額すら取得させない方法として,推定相続人の廃除(同892条)という制度があります。
これは,推定相続人が,被相続人に対して①虐待をしたとか,②重大な侮辱を加えたとか,③推定相続人が著しい非行を行った場合などに,相続人が生前に家庭裁判所に廃除請求を行うか(同892条),遺言に廃除の意思表示(同893条)を記載し,遺言執行者が家庭裁判所に廃除請求を行うことで,推定相続人の相続資格を剥奪する制度です(同892条)。
廃除請求が認められれば,推定相続人は相続資格を失うことになるため,被相続人の財産を一切取得することができなくなります。ただし,廃除は相続人の最低限の権利である遺留分さえ奪う制度なので,よほどの事情がない限りは,認められないとされています。
また,廃除が認められても,その子にさらに子がいる場合は,代襲相続が生じることも注意しなければならない点といえます。