相続に関する手続とは
遺言書文案の作成 (ご生前)
遺言には、公正証書遺言、自筆証書遺言及び秘密証書遺言の3つの方式があります。
公正証書遺言は公証人が遺言書を作成し、自筆証書遺言及び秘密証書遺言は遺言者が遺言書を作成しなければなりません。
公正証書遺言の作成手続き (ご生前)
行政書士は公正証書遺言の作成手続きを代行することができます。
遺言公正証書をするためには、必要書類を収集したり、証人になってくれる人を探したりする手間が生じますし、また、公証役場に最低でも2回は行かなければなりません。
行政書士に依頼すると、書類の収集や証人の立会いもやってもらえますし、遺言者が公証役場に行くのも1回だけで十分となる場合も多いです。
相続人の調査 (ご生前・相続開始時)
調査をしなくても親族関係を把握しているでしょうが、中には、相続人調査によって認知した子がいたことが発覚することもあります。
したがって、誰が法定相続人なのかを確定するためには、相続人調査が必要です。
相続人調査は、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本等(場合によっては被相続人の尊属の死亡の分かる戸籍謄本等も含みます)を収集して行います。
なお、相続人を確認するための戸籍謄本等は、相続手続きでも必要となります。
通常、相続人調査のみ依頼することはなく、相続手続き(相続財産の名義変更手続き)の前提業務として相続手続きと併せて依頼されるのが効率的です。
金融機関等の手続きでは、相続人であることを客観的に証明するために、被相続人の出生から死亡までの戸籍と相続人の現在の戸籍の提出を求められます。
したがって、相続人調査は相続手続きを進める際に、避けては通ることができません。
法定相続情報一覧図・相続情報関係図の作成 (相続開始時)
これらの業務も単体で依頼されることは通常なく、相続手続きの前提業務として相続手続きと併せて依頼されるものです。
相続財産調査、財産目録の作成
ブラスの財産の調査
順番としては、まず被相続人の預金通帳と郵便物から調査をしていきます。
預金通帳を見ればお金の流れを把握することができ、郵便物で財産を管理している銀行や信託会社、固定資産税の支払いをしていれば不動産の管轄市区町村などを調べることができ、そこまで行けばあとはそこに問い合わせをして相続財産(遺産)の調査をすればいいわけです。
被相続人の遺産の中に金融機関の通帳やキャッシュカード、信託銀行や証券会社からの封筒から取引している金融機関の支店まで調べることも可能です。
また、市役所や都税事務所などから届いた固定資産税の通知書があると、被相続人所有の不動産も把握します。
固定資産税通知書には、土地の地番や建物の家屋番号まで記載されているので、その地番などをたよりに法務局で登記簿謄本を取得しましょう。
相続財産の調査に必要となるもの
- 被相続人の死亡を証する戸籍謄本
被相続人が亡くなっていることを確認できないと相続人からは請求できないため。 - 請求者が相続人であることを証する戸籍謄本
相続人からの請求であることを確認してもらうためです。 - 相続財産(遺産)の資料がわかるもの(通帳や手紙など)
向こうも資料があった方が確認しやすいので持参しましょう。 - その他本人確認資料
免許証など顔写真付きのものが確実です。
マイナスの相続財産(遺産)の調査
マイナス財産についても、預金通帳や郵便物を中心として調査していきます。定期的に引き落とされているものや消費者金融やローン会社からの封筒にも注意してください。
一個人からの借金についてまではさすがに簡単に調べる方法はありませんので、借用書等を遺品の中から見つけるしか方法はありません。
もし先方から請求があった場合には、その借金の具体的な契約内容から、いままでの返済履歴などを書面で確認するようにしましょう。
消費者金融やカード会社からの借入の場合は督促状がはがき等によって届きますので、それをもとに調査をしていくこととなります。
また、銀行ローンやキャッシングの場合については、預貯金口座から引き落とされますので故人名義の通帳から調べることができる場合があります。
さらに、通帳からある一定の周期で引き落とされている支払いがある場合には債務(借金等)の可能性がありますので確認をするようにしましょう。
遺産分割協議書の作成 (相続開始時)
作成手順
書式は、特に指定されたものがありません。手書きでも良いのですが、パソコンで作成するのが一般的です。
ただし、被相続人の氏名と死亡年月日、最後の住所地、相続人全員の住所と氏名、遺産の分け方についての内容を記載する必要があります。
氏名の後ろには、必ず届けてある実印を押し、実印であることを証明するために市区町村が発行する印鑑登録証明書を添付します。
住所と氏名は、この印鑑登録証明書と一致している必要があります。まれにですが、住所の表記などが住民票と一致しないことがありますので、注意が必要です。
財産の分け方に関する内容については、具体的に記載します。財産の種類が多い場合は、別の用紙に整理してもかまいませんが、その場合はホッチキス止めして、全員が契印を押します。