「ぜんぶ返してね」住宅ローン消滅で義母が豹変

実の親子のように仲むつまじかった二人が・・・

籍を入れていない男女(内縁関係の夫婦)の内夫がガンで死亡しました。内夫には母がいましたが、母と内妻は、内夫が健在のときは非常に仲が良かったようです。

被相続人の住宅ローンが団体信用生命保険で消滅することを全く想定していなかったような場合、相続対策がおろそかになりトラブルとなることが少なくありません。本ケースは、その一つの具体例です。

まず、確認をしておくと、内縁関係にある者の間では互いに相続が発生しません。夫婦間の相続は、あくまでも法律上の婚姻関係がなければ認められないのです。そのため、この事例でも、死んだ内夫のマンションは内妻に相続されず、相続人である内夫の母親によって相続されることになります。

そして、内夫の母親から明け渡しを求められた以上、内妻は、原則としてマンションを立ち退かなければなりません。

しかし、こうした事態となることを、内夫は、生前に防ごうと思えば、防ぐことができたのです。しかも、さほど難しくない方法で。

すなわち、遺言書を一通作成し、その中に「マンションは内妻に与える」といった一文を記しておけばよかったのです。

そうしておけば、内妻はその遺言書を登記所に提出し、マンションの登記を内夫から自分に単独で移し、そのままそこに住み続けることが可能となったのです。