夫亡き後の妻を守る「配偶者居住権」!

民法(相続法)が改正

再婚相手の子と仲が悪い どうなる?

厚生労働省調査 によれば、令和元年の婚姻は約58万組で、離婚は約21万組です。

いわゆる「3組に1組は離婚する」という時代、40代の中にも、「実の両親は、離婚している。母親は既に再婚して、再婚相手の持ち家に住んでいる」というような事情のある人もいると思います。

<ケーススタディ>尚子さんは、再婚相手である譲さんの持ち家に住んでいる。譲さんには実子の健一郎さんがいるが、健一郎さんは、義理の親子関係にある尚子さんのことを快く思っていない。尚子さんは、今、譲さんの持ち家に住んでいるが、譲さんの死後も、住み慣れたその家に住み続けられるのか?

もし、妻と子が実の親子であれば、夫の死後、持ち家は妻の名義にする、もしくは、妻と子が共有で所有する、という形になるのが、よくあるパターンです。

また、相続が起きた時点で、持ち家の名義は子にして、母親が引き続き住み続けるケースもあります。

けれども、このケースの場合、健一郎さんと尚子さんは義理の親子。

ポイントは、 健一郎さんが尚子さんのことを快く思っていない点 です。

そうなると、健一郎さんが、「持ち家の一部を引き渡してほしい(共有物分割)」「家賃を払ってほしい(不当利得返還請求)」として、訴訟を起こす可能性は、実の親子の場合より大きそうです。

この場合、法改正以前だと、尚子さんが住み慣れた家に安心して住むためには、譲さんの持ち家を相続する必要がありました。

例えば、譲さんが残した財産が、「自宅5000万円と預貯金5000万円」だったとすると、法定相続分として相続するなら、尚子さんが自宅を相続するかわりに、預貯金は健一郎さんに渡すイメージです。

けれども、それをしてしまうと、妻が所有する現金は少なくなり、生活費に困ってしまうこともありました。

「今回の法改正では、平均寿命が長くなる中で、『残された配偶者の生活保障』が重要視されました。尚子さんの生活が立ち行かなくなるような事態をさけるために、配偶者が持ち家に住み続けられ、かつ預貯金も相続できるための『配偶者居住権』という考え方ができたのです。

この制度は、いわば、 残された配偶者の生活を守るために創設された制度 です。新しい法律は、 令和2年4月1日以後 に開始した相続から適用されます」