相続人が認知症の場合

相続トラブル解決策 デジタル資産の発覚

家族の形の変化や、新たな資産の登場によって「相続トラブル」を生み出すことがある。母親の死後、遺産分割協議を終えた50代男性のAさんが実家を整理すると、見慣れぬ金融機関から母に宛てた通知や封書が多数出てきた。

ネット銀行やネット証券などのデジタル資産の利用が最近、増えました。こうした資産も相続の手続きが必要です。遺産分割協議後にデジタル資産が出てきた場合は、協議をやり直さなければなりません

デジタル資産は、遺族が存在を知らなかったりパスワードが不明のケースが多いです。

財産目録やエンディングノートにデジタル資産の情報を記しておくと安心できます。情報漏洩が気になるなら、家族だけがわかるヒント(ペットの名前、妻の旧姓など)を記す手もあります。

超高齢社会の現在、増えているのが相続人が認知症になるケースです。

配偶者が認知症などの『老老相続』も増えています。判断能力を欠く相続人がいる場合、遺産分割協議を行なっても無効とみなされることが多いです。

相続人の1人が認知症などにより判断能力が無い場合は、遺産分割協議をすることができません。

長寿化が進む中、お父さんの相続で、お母さんが認知症の診断を受けているというケースは今後増えると思います。では、どうすればよいのでしょうか?

対策の1つは、お父さんが生前に「遺言」を作っておくことです。

遺言で「誰に何を相続させるか」を決めていれば、遺産分割協議をせずとも不動産や預貯金について、凍結を解除し、相続手続きをすることができます。

また、家族信託をしておき、承継先を定めておくことでも、同様に遺産分割協議を回避することができます。

相続人の1人に、認知症と診断されている方がいる場合には、遺産分割協議をせずに済むように、遺言などを作っておくことをおすすめします。それにより、残された相続人へ負担をかけずに相続手続きを進めていくことができます。