遺産分割協議書を守らない相続人

身内が亡くなり、親族で遺産の分配について話し合い遺産分割協議書にまとめたのに、決めた内容を守らない相続人がいると困りますよね。

「遺産分割協議書で決めた内容を、きちんと守ってもらえないなら白紙に戻したい。」という場合、一度決まった内容を白紙に戻すのは可能なのでしょうか?

協議を白紙に戻せるのか?

一度決まった遺産分割協議書の内容について、相続人の一人が義務を履行しないことを理由に、白紙とすることは基本的にできません。過去の裁判で遺産分割協議書の内容は相続人の債務不履行を理由として解除できないという判決が下されています。

裁判所は解除ができない理由として、以下の2点をあげています。

① 遺産分割協議は協議の成立で終了するため、協議で決まった内容について問題が起きたときは、相続人同士で解決する必要があること

② 遺産分割協議の解除を認めると、民法909条本文により、遺産の再分割の効果が相続開始時までさかのぼります。その結果、最初の協議を前提とした行為が無効となり、法的安定性が著しく害されること

これと異なり,相続人全員が合意すれば遺産分割協議を白紙に戻すことは可能です。

遺産分割協議書の内容を守らない相続人への対処の仕方

遺産分割協議書の結果、相続人に何らかの義務履行が定められた場合、同義務について権利を有する者は遺産分割協議を理由として、義務の履行を求めることができます。

その際、遺産分割協議書は重要な証拠になりますので、しっかり保管しておきましょう。